やっと着果し育ち始めていたオクラの実が
枯れ落ちてしまい、がっかり。
かたや、なかなか実がつかなかったシシトウに、
日に日に見覚えのある形になっていくものがちらほら。
毎朝ジョロ片手にシーソーのように一喜一憂するワタシを尻目に、
うちの無機質なベランダは今や、
百貨店のグランドフロアに満ちるコスメの匂いさながらに、
むせかえるような生で溢れている。
小さなプランタから細かな蒸気のように吹き出る、
実がつこうとつくまいと、枯れるときすら強烈なそのシャワーを、
なかばたじたじとなりながら浴びては、思う。
気づけばこんなにも無分別に豊かなもので、世界は満ちている。
砂漠のオアシスの水のように、飽きることのないその滴りを、
軒先で飲み干す悦び。
それは多分、生き物の味。