□ 【この世界の片隅に】  2017.1.11

お正月、公開中のアニメ映画「この世界の片隅に」を観てきました。

以下、一応ネタバレはない…と思いますが、

感想含め前情報はなるべく入れたくないという方はここでストップ。

もう散々レビュー見たぜ、という方もご同様に。

たいして違いはないと思われます。

 

 

 

 

 

恥ずかしながらこの映画を観るまで

原作漫画を描かれたこうの史代さんの存在すら知らず、

ツイッターで流れてくるレビューの断片から

多分好きな映画だろうと行ったのですが、

上映開始5分あたりから

「これは年始早々エライもんを観ている」と思い、ほどなく号泣。

予想以上に素晴らしくて、結局一日置いて二回目を観に行き、

原作の漫画も取り寄せて読んでしまいました。

 

映画も原作も見事という他なく、

綿密な取材をベースとした丹念な描写や

ストーリーテリングの緻密さをもって

まるで織物を織り上げるように編まれたお話には

圧倒されるばかりでした。

映画は相当に原作に忠実に作られていて、

ここまで世界観を尊重しつつアニメならではのプラスアルファを

加味して仕上げることに成功する例って少ないのでは、と思いました。

 

大変丁寧に作り込まれているにもかかわらず

押し付けがましさがないのにはさらに驚かされました。

ひとえに、原作者のこうの文代さんのどこかニュートラルな

まなざし故でしょう。

「非常に真摯な作品」と評されるのも納得でした。

 

これまでこうの史代さんを全く知らなかったくせに

こんなことを書くのは本当に畏れ多いのですが、

作家としての氏の試みや志向などに共感するところがあまりに多く、

なんだか勝手に励まされるような気持ちにもなりました。

残念ながら、自分は足下にも到底及んでいませんが。

 

映画には話的に多少つながりが悪いところがあり、

作中で細かな形でフォローがされてはいるのですが、

原作を読むとそこがきちんと(それ以上に)つながります。

興行収入が10億を超えたら作ると監督が公言していた

30分拡大版にはその部分が反映されるのかもしれません。

(このブログを書いている時点ですでに10億超えているようです。

 早く観たい…!)

 

ちょっとおせっかいなんですが…

いつか地上波テレビでやるのを観ればいいや、と思っている方、

できれば映画館で観ることをお勧めします。

吹き替えのみならず音響にも強いこだわりを感じる、

それ故印象的なシーンがいくつもある作品です。

またもし、これから映画館に行こうかなという方がいましたら是非、

エンドロールを最後までご覧になってください。

ここでは何をとは申しませんが、是非。

 

こんな漫画が描けたら、と唸らずにいられなかったのと同時に、

このような作品が正当に評価される世の中であることを

とても嬉しく思ったお正月でした。