☁ 生き物の味        2011.7.25

オクラの花

 

やっと着果し育ち始めていたオクラの実が

枯れ落ちてしまい、がっかり。

かたや、なかなか実がつかなかったシシトウに、

日に日に見覚えのある形になっていくものがちらほら。

 

毎朝ジョロ片手にシーソーのように一喜一憂するワタシを尻目に、

うちの無機質なベランダは今や、

百貨店のグランドフロアに満ちるコスメの匂いさながらに、

むせかえるような生で溢れている。

 

小さなプランタから細かな蒸気のように吹き出る、

実がつこうとつくまいと、枯れるときすら強烈なそのシャワーを、

なかばたじたじとなりながら浴びては、思う。

 

気づけばこんなにも無分別に豊かなもので、世界は満ちている。

砂漠のオアシスの水のように、飽きることのないその滴りを、

軒先で飲み干す悦び。

それは多分、生き物の味。