□ 【her】      2014.7.16

 

 

大好きな映画監督 スパイク・ジョーンズの

「her」を観てきました。

大人のための哲学的傑作。

 

以前、同監督の「かいじゅうたちのいるところ」を観た時の

日記にも書いたけれど、この監督は、人間の持つ根源的な部分を、

シュールなファンタジーに置換して描くことが本当に上手。

 

自己とは何なのか、また、それを見つめたときに必ず輪郭を持って

浮かび上がってしまう「内なる孤独」について

真正面から考える人は、恐らくあまり多くない。

考えなきゃいけないわけでは全くないけれど、

それがいつどのように生まれ、それとともに自分がどう生きているかが、

社会や人との関わり方、ひいては生き方に深く影響するのは事実だ。

 

だからこそ、これまでほとんどのフィクションが

すり切れる程繰り返し反芻してきた普遍的なテーマなんだけど、

そのわりにお定まりの判で押したような一般論や道徳観に

着地するのがもう半ば目的化してるような昨今に

(そんな作品ばかりではもちろんないけども)、

スパイク・ジョーンズ監督は目を逸らさないばかりか

非常に秀逸な形で、多くの「自分以外の個」

(すなわち自己を自己足らしめる外の世界)に向けて伝え、

昇華させることのできる希有な人だと思う。

 

また、すこぶるデザインされていてスタイリッシュな映画でした。
見たことあるようでどこにもない微妙な極近未来感の演出が見事。
狭いレンジをあえて表現できるってホントすごい。
しかしスカーレット・ヨハンソンは声だけでもセクシーだなあ。